AIで作ったWebサイトをCMS化して「運用できる状態」にする方法
AIでWebサイトを作れるようになった今、新しい課題が出てきています。
「作った後、どうやって運用するのか。」
CursorやClaudeでHTMLを生成して、見た目のきれいなWebサイトができた。
ローカルで表示してみると、レスポンシブも効いていてクオリティも十分。
でも、このまま公開すると、更新のたびにHTMLファイルを手で書き換えなければなりません。
お知らせを1件追加するだけで、HTMLの編集とFTPアップロードが必要になる。
実績ページに新しい案件を載せたくても、コーダーに頼まないとできない。
写真を1枚差し替えるだけで、コードを触る必要がある。
クライアントに納品するサイトなら、なおさらです。「更新は毎回制作会社に依頼してください」では、クライアントの満足度も下がりますし、制作会社側の保守負荷も増えていきます。
AIは「作る」フェーズを劇的に効率化してくれましたが、「運用する」フェーズの課題は、AIだけでは解決しません。
この記事では、AIで作ったWebサイトを運用可能な状態にする方法として、CMSを活用した実践的な手順を紹介します。
お知らせ更新、実績追加…AIに毎回頼むわけにはいかない
「AIでサイトを作れるなら、更新もAIに頼めばいいのでは?」と思うかもしれません。でも、実際にはそう単純ではありません。
お知らせ記事を1件追加するたびにAIにプロンプトを投げて、HTMLを再生成して、差分を確認して、アップロードする。この作業を毎週やるのは、現実的ではありません。
特に以下のようなケースでは、運用の仕組みを別に用意する必要があります。
- お知らせ・ニュース:発信頻度が高く、テキストや日付を更新するだけの定型作業
- 実績・事例ページ:写真と説明文のセットを追加していくパターン
- スタッフ紹介:異動や入退社で定期的に更新が発生する
- ブログ・コラム:クライアント自身が書きたいケース
- メニューや料金表:季節や価格改定で頻繁に変わる
こうした「定型的だけど頻繁に発生する更新」は、管理画面から誰でもできる状態にしておくのがベストです。つまり、CMS化です。
CMS化で解決できること
CMS化とは、Webサイトの更新が必要な部分を管理画面から編集できるようにすることです。HTMLを直接触らなくても、ブラウザ上のフォームからテキスト入力や画像アップロードができる状態になります。
ここで大事なのは、サイト全体をCMS化する必要はないということです。
AIで生成したHTMLのうち、更新が発生する箇所だけを選んでCMS管理下に置く。それ以外のページ(会社概要、アクセスマップなど、めったに変わらない部分)は、AIが生成したHTMLをそのまま使い続ける。
この「部分的なCMS化」ができると、以下のような効果があります。
- クライアントがブラウザから自分でお知らせを投稿できる
- 実績ページに新しい案件を追加するのに、コーダーの手が要らなくなる
- 写真の差し替えも管理画面から完結する
- 更新のたびに制作会社に依頼する必要がなくなる
- 制作会社側の保守対応コストが減る
更新が必要な箇所だけをCMS管理下に置く
「部分的にCMS化する」と言われても、具体的にどういうことか想像しにくいかもしれません。
たとえば、AIで生成したコーポレートサイトが以下のような構成だったとします。
| ページ | 更新頻度 | CMS化 |
|---|---|---|
| トップページ | ほぼ変わらない | △(お知らせ一覧部分のみ) |
| お知らせ一覧・詳細 | 週1〜月数回 | ◎(CMS化する) |
| 事業紹介 | 年1回程度 | ×(HTMLのまま) |
| 実績・事例 | 月1〜数回 | ◎(CMS化する) |
| 会社概要 | ほぼ変わらない | ×(HTMLのまま) |
| アクセス | 変わらない | ×(HTMLのまま) |
| お問い合わせ | 変わらない | △(フォーム機能のみCMS化) |
このように、更新が発生するページだけを選んでCMS化すれば、工数を最小限に抑えつつ、運用に必要な機能を確保できます。
クライアントが自分で更新できる管理画面
CMS化すると、クライアントにはこんな管理画面を提供できます。
- お知らせの投稿画面:タイトル、日付、本文を入力して「公開」ボタンを押すだけ
- 実績ページの追加画面:写真をアップロードし、案件名と説明文を入力して登録
- メニューの編集画面:料金や品目をフォームから直接編集
HTMLの知識は一切不要です。ブログサービスに記事を投稿するのと同じ感覚で、Webサイトの更新ができるようになります。
CMS化の具体的な手順
ここでは、AIで生成したHTMLをCMS化する具体的な方法を紹介します。
前提として、CMS化にはさまざまな方法がありますが、AIが生成したHTMLをそのまま活かすなら、HTMLベースのCMSが最も相性が良い選択です。
ここではa-blog cmsを例に、「お知らせ」をCMS化する流れを紹介します。
Step 1:更新が必要な箇所を特定する
まず、AIが生成したHTMLの中で「管理画面から更新したい部分」を洗い出します。
お知らせ一覧なら、HTMLの中の ul や li でニュース記事が並んでいる部分。実績ページなら、写真と説明文のセットが繰り返されている部分です。
Step 2:CMSタグを追加する
a-blog cmsの場合、特定した箇所にHTMLコメント形式のCMSタグを追加します。
たとえば、お知らせ一覧なら以下のような形です。
<!-- BEGIN_MODULE Entry_Summary id="news" -->
<ul>
<!-- BEGIN entry:loop -->
<li>
<time>{date#Y}-{date#m}-{date#d}</time>
<a href="{url}">{title}</a>
</li>
<!-- END entry:loop -->
</ul>
<!-- END_MODULE Entry_Summary -->
HTMLの構造はAIが生成したものをそのまま使い、CMSタグとテンプレート変数を追加するだけです。PHPへの変換や、フレームワークの導入は必要ありません。
Step 3:管理画面からコンテンツを登録する
CMSタグを追加してa-blog cmsのテーマとして設定すれば、管理画面からお知らせ記事を投稿できるようになります。タイトル、日付、本文を入力して公開ボタンを押せば、サイトに自動的に反映されます。
a-blog cmsの公式サイトでは、静的HTMLサイトをCMS化する詳しいチュートリアルが公開されています。AIで生成したHTMLに対しても同じ手順が使えます。
チュートリアル:静的HTMLサイトからCMSのテーマを作ってみよう 2026
制作会社がクライアントに提案する際のポイント
CMS化の話をすると、クライアントから「WordPressでいいんじゃないの?」と言われることがあります。知名度がある分、当然の反応です。
ただ、AIで作ったHTMLをCMS化する場合、従来のWordPress構築とは事情が少し異なります。ここを整理して伝えられると、提案の説得力が変わってきます。
デザインの再現性が違う
従来のWordPress構築では、既存テーマをベースにカスタマイズするか、HTMLをPHPテンプレートに変換してオリジナルテーマを作るか、どちらかの方法を取ります。
既存テーマのカスタマイズだと、AIが生成したデザインをそのまま再現するのは難しい。テーマが持っているレイアウトやスタイルの制約に合わせて、デザインを妥協する場面が出てきます。
オリジナルテーマを一から作ればデザインの自由度は上がりますが、HTMLをPHPに変換する作業が発生します。
ファイルを分割して、テンプレートタグに書き換えて、ループ処理を実装して、動作確認して——この工程の中で、AIが出力したきれいなHTMLの構造が徐々に変わっていきます。
「思った通りのデザインにならない」というトラブルが起きやすいのも、この変換工程です。
HTMLベースのCMSであれば、AIが生成したHTMLにCMSタグを追加するだけなので、デザインはそのまま維持されます。
「AIで作ったあのデザイン、そのままの見た目で、かつ自分で更新できるサイトになります」という提案ができます。
「デザインそのまま」+「自分で更新できる」が両立する
クライアントが本当に求めているのは、この2つの両立です。
「見た目は理想通りにしたい」——これは当たり前の要望です。AIが生成したデザインを見て「これがいい」と言ってくれたなら、そのデザインを忠実に再現して納品したい。
「でも、お知らせやブログは自分で更新したい」——これも当たり前の要望です。更新のたびに制作会社に依頼して、費用と時間がかかるのは避けたい。
従来の方法だと、デザインの再現性を優先すると更新の自由度が下がり、更新しやすさを優先するとテーマの制約でデザインが変わる、というトレードオフが生じがちでした。
HTMLベースのCMSは、このトレードオフを解消します。AIが出力したHTMLの見た目を維持したまま、更新が必要な箇所だけ管理画面から操作できる状態にする。
デザインの再現性と更新のしやすさを両立できるのが、クライアントへの提案として最も強いポイントです。
まとめ
AIコーディングは、Webサイト制作の「作る」フェーズを大幅に効率化してくれます。しかし、サイトの本当の価値は公開後の運用フェーズで生まれます。
AIで作ったHTMLを、そのまま管理画面から更新できる状態にする。更新が必要な箇所だけを選んでCMS化する。クライアントが自分でコンテンツを管理できる仕組みを提供する。
「作って終わり」ではなく「作って、運用できる状態にして、納品する」——ここまでがAI時代のWeb制作です。
a-blog cmsなら、AIが生成したHTMLにCMSタグを追加するだけで、運用可能なサイトに変えられます。まずは公式チュートリアルで体験してみてください。
チュートリアルを見る → 静的HTMLサイトからCMSのテーマを作ってみよう 2026
ウェブ制作会社アップルップル代表。2000年に日記のCGIを公開、2004年にはブログを開発。四半世紀にわたりWebサイトを更新するシステムに関わり続けてきました。自社開発CMS「a-blog cms」は5,000サイト以上で採用され、現場視点のUI改善や勉強会の開催にも取り組んでいます。
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