WordPress代替CMS比較|制作会社が案件で使い分ける判断基準は?【2026年版】
「WordPress以外のCMSも検討した方がいいんだろうか?」
制作会社の方なら、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。
WordPressは今も優れたCMSですが、すべての案件で最適とは限りません。プラグインの保守対応、PHP人材の確保、クライアントから「更新が難しい」と言われる場面。こうしたモヤモヤを抱えている方に向けて、この記事では「WordPressか、それ以外か」という二択ではなく、案件の特性に応じてCMSを使い分ける判断基準を整理します。代替CMSの比較も、優劣ではなく「どの案件に合うか」という視点でお伝えしていきます。
WordPressは本当に「合わなくなった」?
WordPressが最適な案件は今も多いが「全案件WordPress」は可能?
誤解のないようにお伝えすると、WordPressは2026年現在も非常に優れたCMSです。テーマやプラグインが豊富で、デザインの自由度も高い。クライアントへの提案時に「WordPressで構築します」と言えば説明コストが低いのも、制作会社にとっては大きなメリットです。コーポレートサイト、ブログ、メディアサイトなど、WordPressが最適解となる案件は今も数多くあります。
ただ、こんな場面に心当たりはないでしょうか。
クライアントの更新頻度が高い案件で、管理画面の使い方を何度も説明している。保守契約を結んでいるのに、利益がほとんど出ていない案件がある。プラグインのアップデートで不具合が出て、本来の制作業務が止まった経験がある。
これらはWordPressが悪いわけではありません。ただ、すべての案件に同じCMSを使い続けていると、ミスマッチが起きやすい領域があるということです。
プラグインやアップデート対応で「構築」より「保守」に時間を取られる
WordPressはオープンソースCMSであり、機能の拡張はプラグインに依存する設計になっています。これは柔軟性の高さと引き換えに、プラグイン同士の競合リスクや、WordPress本体のアップデートに伴う互換性チェックという継続的なコストを生みます。
制作会社にとって特に深刻なのは、この保守コストが見積もりに載りにくいという点です。構築フェーズの工数は見積もれても、納品後に発生するプラグイン更新やPHP・WordPressバージョンアップへの追従は、保守契約の範囲を超えて膨らみがちです。結果として、保守対応が制作チームの稼働を圧迫し、新規案件に集中しづらくなってしまいます。
なお、これはWordPress固有の欠点というよりも、オープンソース+プラグイン依存型のCMS全般に共通する構造的な特性です。大事なのは、自社の体制や案件の特性に合っているかどうかを見極めることです。
PHP人材への依存と、属人化のリスク
WordPressのカスタマイズには、PHPの知識が欠かせません。テーマの自作、functions.phpでの機能追加、プラグインのカスタマイズなど、いずれもPHPが書けるエンジニアがいなければ対応は難しいのが実情です。
問題は、多くの中小規模の制作会社にとって、PHP専任エンジニアの確保が容易ではないということです。採用市場ではPHP人材の需要が高く、仮に採用できたとしても、退職すればWordPress案件のカスタマイズや保守が回らなくなるリスクがあります。
案件によっては「PHPスキルに依存しない構築方法」を選択肢として持っておくことが、組織としてのリスクヘッジになります。
WordPress代替CMSを検討すべき「案件タイプ」と「組織条件」
CMSは案件によって使い分けるのが最適
ここまで読んで、「じゃあWordPressをやめなきゃいけないのか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、その必要はありません。
大切なのは「WordPress一択」をやめることであって、WordPressをすべてやめることではないのです。得意な案件にはWordPressを使い、WordPress以外のほうが効率よく回せる案件には別のCMSを選ぶ。この使い分けができるようになると、保守コストの削減や提案の幅の広がりなど、経営面でのメリットが見えてきます。
では、具体的にどんな案件や組織条件のときに、代替CMSの検討が有効なのでしょうか。
WordPress代替CMSが向いている案件の3つの条件
すべての案件に共通する正解はありませんが、以下のような条件が重なる案件では、WordPress以外のCMSを検討するのがおすすめです。
1つ目は、クライアント自身が頻繁にコンテンツを更新する案件です。お知らせやブログ、事例紹介など、納品後にクライアントが日常的に情報を発信する必要がある場合、管理画面の使いやすさが運用の定着を左右します。「操作がわからない」という問い合わせが増えてサポート工数が負担になっているなら、より直感的に更新できるCMSを検討するタイミングです。
2つ目は、保守契約の利益率が低い案件です。プラグインのアップデート対応やセキュリティパッチの適用に毎月一定の工数がかかっているにもかかわらず、保守費用に転嫁しきれていない。実工数と契約金額を突き合わせてみると実質赤字、というケースは珍しくありません。プラグインへの依存が少ないCMSを選ぶことで、この構造自体を変えられる可能性があります。
3つ目は、PHPエンジニアなしで構築から運用まで回したい案件です。HTML/CSSのスキルはあるがPHPは書けないデザイナーやコーダーが中心の体制では、WordPress案件は外注や特定メンバーに頼らざるを得ません。HTML/CSSベースで構築できるCMSであれば、既存のチーム体制のまま対応できる案件の幅が広がります。
WordPress代替CMSが向いている制作会社の3つの条件
案件の特性に加えて、自社の組織状況からも整理してみましょう。
1つ目は、PHP専任のエンジニアがいない、または採用が難しい会社です。無理にPHP人材を採用するコストをかけるよりも、今いるメンバーで回せるCMSを導入するほうが合理的な場合があります。
2つ目は、保守対応の工数が経営を圧迫している会社です。受注は順調なのに、既存案件の保守に時間を取られて新規制作に集中できない。こうした状態が慢性化しているなら、保守負荷の低いCMSを一部の案件に導入するだけでも、チーム全体の稼働に余裕が生まれます。
3つ目は、案件単価を上げたいが差別化要素が少ないと感じている会社です。「WordPress構築」は多くの制作会社が提供できるため、価格競争に巻き込まれやすい面があります。WordPress以外のCMSも提案できること自体が、「案件に合わせた選定をしてくれる会社」という信頼感につながり、価格比較から抜け出すきっかけになります。
WordPress代替CMSの選定基準。制作会社が見るべき5つのチェックポイント
代替CMSを検討するといっても、世の中にはさまざまなCMSがあり、公式サイトを見ればどれも魅力的に映ります。
ただ、制作会社がCMSを選ぶ際に見るべきポイントは、一般的な機能比較とは少し異なります。大切なのは、「自社の体制で構築・運用が回るか」「クライアントに自信を持って提案できるか」という実務の目線です。ここでは、選定時に確認すべき5つのチェックポイントを整理します。
①構築に必要なスキルセット
最初に確認すべきは、そのCMSでサイトを構築するために、どのレベルの技術スキルが必要かという点です。WordPressならPHP、ヘッドレスCMSならAPI実装のスキルが必要になりますし、HTML/CSSだけでテンプレートを組めるCMSもあります。
「社内の誰が構築を担当するか」を具体的に想像してみてください。デザイナーやコーダーが中心なのか、フロントエンドエンジニアがいるのか。今いるメンバーで無理なく構築できるCMSを選ぶことが、導入後のスムーズな運用につながります。
②標準機能の充実度
CMSの機能には「標準で備わっているもの」と「プラグインで追加するもの」の2種類があります。WordPressの保守負荷の多くがプラグイン管理に起因していることは、すでにお伝えしたとおりです。
問い合わせフォーム、SEO関連の設定、画像の自動最適化、レスポンシブ対応など、ほぼすべてのサイトで必要になる機能が標準搭載されているかどうか。ここを事前に確認しておくだけで、納品後の保守負荷が大きく変わります。
③セキュリティの責任範囲
オープンソースCMSの場合、セキュリティ対策は基本的に利用者自身の責任です。本体やプラグインの脆弱性情報を追い、アップデートを適時適用する必要があります。一方、商用ライセンス型やSaaS型のCMSでは、開発元がセキュリティアップデートを提供し、脆弱性への対応もベンダー側で行うケースがあります。
セキュリティの責任をどこまで自社で負うのか、どこからベンダーに任せられるのか。この線引きを明確にしておくと、クライアントへの説明もしやすくなりますし、保守契約の設計にも役立ちます。
④日本語サポートと開発元との距離感
海外製のCMSは選択肢が豊富ですが、実務で使う際には「困ったときにすぐ解決できるか」が意外と重要です。公式ドキュメントが日本語で整備されているか、日本語でサポートに問い合わせられるか、ユーザーコミュニティが国内にあるか。機能比較の表には現れにくいものの、実際の運用で差が出やすい部分です。
特に、開発元に要望や不具合報告を直接伝えられる関係性は、長期的にCMSを使い続けるうえで大きな安心材料になります。
⑤ライセンス費用とクライアントへの説明しやすさ
CMSの費用体系は、無料(オープンソース)、月額制(SaaS型)、買い切り、サブスクリプションなど、さまざまです。制作会社が気にすべきなのは自社のコストだけでなく、「クライアントにどう説明するか」という観点です。
WordPressは「無料で使えるCMS」という認知が広いため、別のCMSを提案するとき「なぜ無料のWordPressではないのか」と聞かれることがあります。このとき、ライセンス費用の対価として何が得られるのかを明確に伝えられるかどうかが提案の成否を分けます。「プラグイン管理が不要になり保守コストが下がる」「開発元のサポートでセキュリティリスクが低減する」など、費用対効果の文脈で伝えると、納得感を得やすくなります。
主要WordPress代替CMSの比較。案件タイプ別の向き不向きは?
ここからは、制作会社が検討対象にしやすい代表的なCMSを取り上げ、前章の5つのチェックポイントに沿って比較していきます。
この比較の目的は「どのCMSが一番か」を決めることではありません。それぞれに得意な領域があり、案件の特性や自社の体制によって最適解は変わります。「どんな案件に、どのCMSが合いやすいか」という視点で読み進めてください。
| WordPress | Movable Type | ヘッドレスCMS | STUDIO / Wix | a-blog cms | |
|---|---|---|---|---|---|
| 構築スキル | PHP / テーマ開発 | Perl / MTML | JavaScript / API実装 | ノーコード | HTML / CSS |
| 標準機能 | プラグインで拡張が前提 | 比較的充実 | コンテンツ管理に特化 | テンプレートでカバー | SEO・フォーム等を標準搭載 |
| セキュリティ | 自己管理 | 自己管理(攻撃面は小) | ベンダー管理 | ベンダー管理 | 開発元が提供 |
| 日本語サポート | コミュニティ中心 | 国産・法人サポートあり | 国産あり(microCMS等) | 日本語対応あり | 国産・直接相談可 |
| 費用 | 無料 | 有料(買い切り/サブスク) | 無料プランあり・従量課金 | 無料プランあり・商用は有料 | 有料(買い切り/サブスク) |
| 得意な案件 | 大規模メディア、EC | セキュリティ重視の企業サイト | マルチチャネル配信 | LP・小規模サイト | 中小規模の企業サイト |
では、各CMSについてもう少し詳しく見ていきましょう。
Movable Type 静生成による安定性が強み
Movable Typeは、シックス・アパート社が提供する国産CMSです。最大の特徴は「静的生成」に対応している点でしょう。あらかじめHTMLファイルを書き出しておく仕組みのため、表示速度が速く、サーバーへの負荷が小さい。外部からの攻撃対象になりにくいというセキュリティ上のメリットもあり、官公庁や金融機関での採用実績が多いのはそのためです。
一方、テンプレートの構築にはMTML(Movable Type Markup Language)という独自の記述言語を使うため、学習コストは発生します。ライセンス費用が必要なことと、動作環境としてPerl環境の準備が求められることも、導入前に確認しておくべき点です。セキュリティと表示速度を最優先にしたい案件で力を発揮するCMSです。
ヘッドレスCMS(microCMS等) 表示の自由度は高いが、エンジニアが必須
近年注目を集めているのが、microCMSやContentfulに代表されるヘッドレスCMSです。コンテンツの管理と表示を完全に分離しており、API経由でデータを取得するため、Webサイトだけでなくアプリやデジタルサイネージなど複数チャネルへの配信が可能です。
表示側の自由度が非常に高い反面、フロントエンドの実装はすべて自前で行う必要があります。Next.jsやNuxt.jsなどのJavaScriptフレームワークを扱えるエンジニアが社内にいることが前提です。
注意したいのは、「PHPエンジニアがいないから」という理由でヘッドレスCMSを選んでも、ハードルが下がるとは限らない点です。PHPの代わりにAPI連携やフロントエンド実装のスキルが求められるため、エンジニア不在の制作会社にはむしろ要求が上がることもあります。フロントエンドに強いチームには魅力的な選択肢ですが、自社の体制とよく照らし合わせて判断してください。
STUDIO / Wix— ノーコードで手軽だが、制作会社の「制作力」が活きにくい
STUDIOやWixは、コードを書かずにWebサイトを構築できるノーコードツールです。直感的な操作でページを組み立てられるため、制作スピードが速く、小規模なサイトやLPなら短期間で公開できます。
ただし、制作会社がクライアントから制作費用をいただいて構築するという文脈では、少し相性が異なります。テンプレートの枠組みの中でデザインを調整する形になるため、独自デザインや複雑な導線設計といった制作会社ならではの付加価値を発揮しにくい面があります。また、プラットフォームの料金体系や機能がサービス側の判断で変わるため、長期の運用計画が立てにくいと感じることもあるかもしれません。
クライアントが自走できるサイトを提案する場面では有力ですが、構築力で差別化したい案件には別のCMSが適しています。
a-blog cms— HTML/CSSベースの構築とクライアント運用のバランス型
a-blog cmsは、名古屋のアップルップルが開発・提供する国産CMSです。
特徴を一言で表すなら、「制作会社の構築しやすさ」と「クライアントの更新しやすさ」のバランスを重視した設計です。
構築面では、テンプレートをHTML/CSSベースで作成できます。PHPやJavaScriptの専門知識がなくても、デザイナーやコーダーが直接テーマを組むことが可能です。WordPressのようにPHPのテンプレートタグを書く必要はなく、独自のタグを使ってHTMLファイルの中にCMSの機能を埋め込む仕組みになっています。
運用面では、ブラウザ上でサイトの表示画面をそのまま編集できる「見たまま編集」が標準搭載されています。クライアントのWeb担当者が専門知識なしで日常的な更新を行えるため、「更新の仕方がわからない」という問い合わせの削減につながります。
また、問い合わせフォーム、SEO設定、画像のWebP自動変換、レスポンシブ対応といった機能がプラグインなしで使えるのも、保守工数を抑えるポイントです。
一方で、WordPressのような圧倒的なテーマやプラグインの数はありません。大規模なECサイトや、プラグイン資産を前提とした複雑な要件がある案件では、WordPressのほうが適している場合もあります。
a-blog cmsが力を発揮するのは、クライアントが自ら更新するサイトで、PHPエンジニアなしで構築・保守を回したい案件です。万能ではありませんが、こうした条件が揃う案件にはよくフィットする選択肢です。
まとめ
この記事では、WordPressの代替CMSを「乗り換え先」としてではなく、「使い分けの選択肢」としてお伝えしてきました。
WordPressは今も優れたCMSです。ただ、すべての案件に同じCMSを使い続けることで生まれるミスマッチがあるのも事実です。大切なのは、案件の特性と自社の体制に合わせて、根拠を持ってCMSを選べる判断基準を持つこと。この柔軟さが、制作会社としての競争力につながります。
PHPエンジニアなしで構築できて、クライアントが直感的に更新できるCMSを探しているなら、選択肢の一つとしてa-blog cmsを検討してみてください。30日間無料で試せるテスト環境も用意されていますので、まずは実際に触ってみることで、自社の体制に合うかどうかを確かめていただければと思います。
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