a-blog cms 勉強会 in 名古屋 2019/04
現在の仕事は Web サイトの設計や CMS の実装など、フロントエンドまわりの制作が中心です。a-blog cms の存在は以前から知っていたものの、初めて触ったのはフリーランス時代でした。それまでは WordPress を中心に使っていたのですが、北九州エリアでよく一緒に仕事をしていた Web デザイナーや Web ディレクターの方が a-blog cms を使っていたことから、仕事で触る機会が増えていきました。 PHP などのプログラミング言語を書かなくても使えることに加えて、Web に詳しくない人でも更新しやすいところなどが気に入っています。
a-blog cms を使っていて実感するのは“使う人を選ばない”という安心感です。たとえば WordPress だと、同じ完成形を目指していても、いろいろなコードの書き方があります。アプローチ方法がさまざまなだけに書く人のクセが出やすく、他の人が作ったものだと解読するのに時間がかかることも。
それに対して a-blog cms は、ユニットをベースにしたシンプルな構造のため、自分が作ったものでなくてもテンプレートを見れば大体どのような作り方をしたかが分かります。実際に今、入社して数ヶ月前の新人エンジニアに a-blog cms を使った案件を一つ任せているのですが、テンプレートの書き方さえ知っていれば、利用歴約8年の私と同じクオリティのものが作れてしまうんです。
作る人を選ばず、セキュリティの安全性も確保されています。複数人が関わる仕事での受け渡しもスムーズですし、構造がシンプルなだけに、他社の CMS のように大きな崩れ方をしないのも安心感につながっています。
弊社で受託している Web サイト制作の仕事は、基本的に a-blog cms を使うことが前提です。クライアントと内容の打合せをする際には、a-blog cms を触ってもらい操作方法をレクチャーしながら進めていきます。
インストールした真っさらの状態からサイトテーマの入力やユニットの登録を行い「この感じでいきましょうか」というところまでクライアントと一緒に作ってしまうんです。これは、ユニットを積み上げるだけで簡単に Web サイトを作ることができる a-blog cms だから可能な進め方です。
他社の CMS では一般的に HTML をベースに内容を固め、その後 CMS の実装までした状態で、クライアントに管理画面を触ってもらい、運用のテストをしながら調整を加えていくケースが多いと思います。クライアントとしてはこの時に初めて CMS を使った入力作業をすることになりますが「使ってみないと分からない」というのが正直なところでしょう。「実際に触ってみたら、やはりこの機能もほしい」「更新作業の時にこの部分も触れるといい」など、運用的な部分で大きな修正が発生することも少なくありません。
その点 a-blog cms なら、クライアントと一緒に CMS プロトタイピングを行うことができるため、早い段階から管理画面の運用的なフィードバックをもらうことができます。最終段階での手戻りが少ないだけでなく、CMS の実装と HTML のコーディングを同時に行うことができるため、スピーディーに進められることもポイントです。
基本的に弊社では、クライアントに「できるだけ標準搭載のユニットだけで Web サイトを完結させましょう」と伝えるようにしています。
カスタムユニットや PHP を使ったカスタマイズも可能ですが、別途準備する必要があり、その分、工数も予算も増えてしまうからです。かと言って、クライアントの「こんな機能がほしい」という要望を却下するわけではありません。 a-blog cms には標準で使えるモジュールが充実しているため、PHP を知らなくてもほとんどのことができてしまうんですよ。
たとえば PHP のスーパーマンがいたとして、その人は熟練したスキルで、あらゆる機能を備えた素晴らしい Web サイトを作ることができるでしょう。私は a-blog cms なら、標準搭載のユニットとモジュールを使えば、PHP のスーパーマンと同じレベルの Web サイトを作ることができると考えています。
これは先ほど言っていた“使う人を選ばない”ことにも通じますが、a-blog cms は初心者でも熟練者に対抗できる CMS なんですよ。
新たにリリースされた Ver.2.10 も早速使っています。サブカテゴリを設定できるようになったことや、管理画面を簡単な操作でアレンジできることがいいですね。
今までは管理画面の表示を変更しようとするとカスタマイズが必要となり、またカスタマイズした部分は、バージョンアップのたびに手動で調整を加えなければなりませんでした。今回のバージョンからはアップデートにともなう影響範囲が少ないため、心配せずにバージョンアップできます。
実は以前から「管理画面がもう少し使いやすくなるといいな」と感じていたところがありました。それを開発会社のアップルップルに伝えるまでもなく、先を行ってくれたので「ここまでやってくれるのか」と感動しました。開発者の伊藤さんは神ですね(笑)
アップルップルは CMS の開発だけでなく Web サイト制作の受託もしているので、CMS ユーザーとしての目線もあるのがいいんでしょうね。伊藤さんに限らず、アップルップルの皆さんは技術力が高く意欲的な方ばかり。こちらの要望にしっかり応えてくれるので、いつも刺激をもらっています。
a-blog cms を使うようになって、私自身、技術力や提案力が上がったと感じています。a-blog cms を使い始める前は、言われたものを作るという受け身の姿勢でした。
a-blog cms はユニットを使ったシンプルな構造のため、Web サイト全体を少し引いた目線で見て更新のしやすさに配慮したり、自分なりに工夫ができるようになりました。充実の機能のおかげで「もっとこうしましょう」「こんなこともできますよ」など、提案の幅も広がったと思います。
もう一つ、他の CMS を使っている人に伝えたいのは「WordPress より稼げる CMS」だということ。個人的な感覚ですが、WordPress はユーザー数が多いだけに競合も多く、仕事の単価も下がってきているように思います。
特に、私のように構築やコーディングをメインにしている人は、自分で CMS を選んだり提案することが少ないんです。そのため a-blog cms を使う仕事が発生した場合、競合が少ない分、ご指名で仕事をもらうことにつながります。 a-blog cms を使えると、それだけで一つの武器になっていきますよ。
今後も a-blog cms を活用しながら、さらに仕事の幅を広げていけたらと思います。たとえば拡張アプリの開発などにも挑戦してみたいですね。
田村さんへのインタビューは以上です。この度はインタビューを引き受けてくださり、ありがとうございました。
拡張アプリを作られたら、ぜひ見せてくださいね!
食品系のネット通販サイトのほかに、病院や企業、学校などのコーポレートサイトの制作などが主な仕事です。ヒアリングからディレクション、デザイン、コーディングと、受注から納品までを請け負っています。
仕事をするうえで大切にしているのは、とにかくクライアントの話を聞くこと。じっくり時間をかけて、「クライアントが持つコンテンツ」「発信すべきターゲット」「コンテクスト(市場などの状況)」の3つを軸にヒアリングしていきます。
クライアントの「ホームページを作りたい」という要望の背景には、「なぜ作りたいか」という理由が必ずあるんです。売上をアップさせたいのか、認知度を高めたいのか、そもそも本当に Web サイトは必要なのか。
クライアント自身でさえはっきりしていない場合もありますが、ヒアリングをしながら一緒に課題を見つけ、何を目的としたホームページなのかを明確にするようにしています。そうすることでクライアントの中でも決意が固まり、しっかり予算をかけてくれるようになるんですよ。
もともとはグラフィックデザインの事務所で働いていたのですが、独立後は Web デザインをメインに。先ほどのヒアリング方法とも重なる部分ですが、設計や構造などを理論立てて考えていくのが得意な自分にとっては、ゴールを明確にしたうえで組み立てていく Web の仕事が向いているなと感じています。
a-blog cms を初めて知ったのは、確か2010年頃。当時は Ver. 1.4 くらいだったと思います。それまでは HTML や CSS を使ったデザインやコーディングをして静的サイトを作っていましたが、時代の流れとともに CMS を学ぶ必要があるなと思って探していたところ、知り合いの方に紹介してもらえたのが a-blog cms でした。
プログラマーではないため、何よりもプログラミングを勉強しないでも扱えるという部分に魅力を感じました。また他社の CMS と比べて攻撃されにくく、セキュリティリスクが少なく安心なところもポイントでした。
a-blog cms を使っていて、やはり良いと思うのはユニットの仕組みです。一般的に Web の知識がないクライアントは、なんとなく「Web を触るのは怖い」と苦手意識を持っている方がほとんどです。
多くは「自分の手で触って HTML のタグを消してしまい、ページが崩れたらどうしよう」というような恐怖でしょう。崩れた状態のまま公開されてしまうことに加えて、担当者が社内で責任を問われてしまう怖さもあるのかもしれません。
その点、a-blog cms はユニット機能により、HTML を理解できなくても見出しと本文を見たままで編集していけます。基本的にタグをいじる必要はありませんし、Web に慣れていない人でも、感覚的に使い方が身についていくんです。
ユニットの使用例。このように見出しやテキスト本文をブロックごとに分けて記述していく
崩れにくく分かりやすいため、カテゴリーやエントリーを増やすのも怖がらずにできます。日々の更新はもちろん、基本情報の修正などの細かなメンテナンスまでクライアント自身で行っていけるのがメリットですね。
PHP を知らない Web 制作者はもちろん、Web を本業としていないクライアント、ひいては初めて CMS を触る人でも無理なく利用できるのが a-blog cms なんです。
私は新規の Web サイトを制作する際、クライアントが運用する時のことを考えて、独自のワークフローをとっています。クライアントに出来上がった状態の Web サイトを提供するのではなく、制作段階からどんどん関わってもらうのです。
具体的には、デザインに着手していない段階から a-blog cms をインストールして簡単な操作のレクチャーを行います。そしてクライアントの手でカテゴリーを設定し、エントリーの設定まで行ってもらいます。デザインをする前の、いわゆる CMS プロトタイピングの作業をクライアントと一緒に進めていくんです。
そうすることでクライアントも早々に a-blog cms の扱いに慣れることができ、Web サイトをリリースする頃には、レクチャーなしで運用できるレベルまで達していることがほとんどです。最初は不安そうだったクライアントも、まずサンプルサイトを触ってもらうと「これなら自分でもできそう」と安心してもらえます。
特にダイレクト編集モードを触ってもらった時の反応は良いですね。実際に多くの方々が、1〜2時間程度のレクチャーで、大体1つの記事を作れるレベルに。結果的に、公開後のメンテナンスを自分で無理なく行えることに喜んでもらえています。
a-blog cms は更新のしやすさを優先したシンプルな構造のため、ビジュアル面でのデザインは制限されるのかもしれません。
しかし、いかに見た目がかっこいい Web サイトでも、何年も更新されていない状態では存在する意味がありません。皆さん、まだまだ見た目にこだわり過ぎだと思うんです。
Web デザイナーらしくない考え方なのかもしれませんが、Web サイト訪問者が本当に求めているのは、スタイリッシュなビジュアルではなく情報なんですよ。また中小企業の場合は特に、Web サイトにあてられる予算が限られていて、メンテナンスにコストをかけたくないというクライアントが多数。
だからこそビジュアルデザインばかりにこだわるのではなく、一度制作したらその後はクライアントにバトンタッチし、自分たちで怖がらずメンテナンスを行えることが喜ばれてます。
このフローだと1つの Web サイトを制作するごとに売り切りの案件になるため、保守契約での売上はほぼありません。しかし、本当にクライアントの立場になって考えると、結局は自分でラクにメンテナンスをしていけることが大事な価値の一つになるんですよ。
そして、このようにクライアントと二人三脚で Web サイトを作っていくスタイルに、a-blog cms はぴったりの CMSだと言えます。
クライアントに限らず、私の仕事がきっかけで幸せになる人が増えればいいなと思っているので、2018年の秋に開催された a-blog cms Training Camp のユーザーセッションで、制作フローのメリットを紹介することも。
また最近は Web 制作会社の(株)ワクグミさんと連携し、CSS と JavaScript の UI コンポーネントを組み合わせた Web サイト用のフレームワーク(Japan Web Production Standards)を作り、無償で公開もしています。
これから a-blog cms に望むこととして、たとえばダイレクト編集モードで編集を終えた後でも Command+Z を使って一つ前の画面に戻れる機能や、マークダウンで書いた原稿をユニットに分解できる機能など、さらにクライアントが使いやすくなるような仕様が増えると理想ですね。
今後も a-blog cms に期待しています。
小佐々さんのインタビューは以上です。この度はインタビューを引き受けてくださり、ありがとうございました。
また、CMSへのご要望ありがとうございます。より使いやすいシステムになるよう、検討し励んでまいります!